雨雲のように

日記帳。たまに思ってることを色々と吐き出してます。

むかしばなし

昨日から、ぼやーっと考えてた昔のはなし。

中学1年の時のクラスの担任だった先生が、すぐに癇癪を起こす人で。
言ってることはほとんど正論だった気がするんだけど、ちょっと伝え方が下手というか、いわゆる「すぐにキレる先生」だった。

中学に入学して、1ヶ月くらい経って、別の小学校からの生徒とも打ち解けたころ、ちょうど体育祭が間近に迫っていた。

そこで、クラスのキャプテンというか、リーダーというか、そういう、言い方が悪いかもしれないが、「人の上に立つ人」を誰にしようか…とみんなで、担任とも一緒に考え始めていた。

その会議?と書くとかなり大げさかもしれないけど、まあでも会議だな、そこから急に「僕がいいんじゃないの?」と誰かが言い出した。ややこしいが、ここでいう「僕」というのはその人が自薦したのではなくて、今このブログを書いている「僕」のことを言っている。
おそらくだが、冗談のつもりで言ったのだろう、そこから急に周りが僕をおだて始めて、まあその場のノリでふざけて「いいじゃんいいじゃん」と盛り上がっていたところ、居合わせた担任が一言。
「こいつに務まると思うか?もっとちゃんと考えろ」みたいなことを言われた。

少し泣いてしまった。その言葉そのものに傷ついたというより、『ああ、確かにそうだな。俺には向いてないな』と分かっていて、自分で自分が情けなくて、涙目になった。

情けなくも涙してしまった僕を、特に女子が取り囲んで「大丈夫?」「泣いてる…」など、それはもうやさしい態度と言葉で慰めてくれた。逆にそれがさらに心をえぐられて泣ける泣ける。それと同時に、その女子達から担任は軽蔑の目で見られるようになる。

僕の周りではそういう事が起こって、他の生徒にも色々嫌われそうな事を言ったり、いやな態度をとったりしてたのかな、1年次の終わり、終業式の直前だか直後だか忘れたが、ホームルームでその教師は「一部の生徒から嫌われているようだが、俺はこのスタンスを貫いていく。お前らがいくら嫌おうと」みたいな事を言って、モヤモヤした感じで1年次は終わった。

2年に進級してからクラス替えがあって、その教師は僕のクラスの担任ではなくなったが、授業の担当は変わらなかった。ちなみに体育。よく考えたら3年間ずっと体育の授業はこの人だったな。

僕は運動が苦手な上に当時ものすごく嫌いで、結構授業態度が悪かった。後で指導室に呼び出されて、直に説教を受けるなんてのはなかったが、仮病を使うとか、わざと体操着を忘れるとか色々細工して、それも所詮は子供の浅知恵だが、見学することも多かった。もちろん、本当に風邪引いて見学したこともあったけど。

授業態度が悪かったのは認める。だから「ちゃんとやれ」と怒られても仕方ない。
だけど、怒りの沸点が低いのか、ちょっとサボっただけ(それもよくない事だけど)で、激怒して、なんやかんやあった。言葉は汚いし、言い方も他にもう少しあるだろうとは思うが、とにかく自分は熱血教師だと思ってたのだろうか、体当たりで生徒と向き合おうとしていた。

僕は受けたことはなかったが、当時野球部の顧問を務めていて、そこに所属していた友達によれば、今で言ういわゆる「体罰」に当たるような事をしていた…らしい。この目で見ていないので、実際にそうだったのか、それともエピソードを盛ったのか、そこまでは分からない。でも、そういう噂がたっても、誰も「えー意外だね」なんていうリアクションをする人はいなかった。僕を含め。

多分、最初に書いた「僕が泣いてしまった」事件から同学年の、特に女子からの不信感が募り、その不信感は雪だるま式に大きくなっていって、僕が卒業する頃にはもうすでに「最悪の教師」みたいな烙印を押されていた。

1年次の話に戻るけど、僕が通っていた中学校は当時、給食がなくて、弁当持参のルールがあった。そして、お昼ご飯の時間になったら、そりゃ当然みんな家から持ってきた昼食を摂るのだけど、その時、女子の誰かがひそひそ声で「あいつ結婚してて子供もいるらしいよ」「奥さんと子供かわいそうだね」などと陰口をたたいていたのを憶えている。
今になって思えば、仕事中に癇癪起こす人って、プライベートではやさしそうなんだよな。溜まったストレスをそこで発散してるから。多分今で言うイクメンなのかなあ。そこまでは分からんけど、予想はつく。

ここまでその教師のひどさを書いてみたが、最初の被害者?である僕は、実は『そんなにイヤな先生ではない』と認識している。
伝え方こそ直すべき点はあっただろうが、言ってることそのものは訳の分からんことをわめいているようにはとれなかった。内容はまともだが、とにかく伝え方が悪い。
人間、感情を持っているから、少しずつ怒りが溜まっていって、いつかそのエネルギーが爆発して、ブチ切れることはあるだろう。要は、その怒りをどの段階で発動するか。上にも書いた、「沸点の低さ」が問題。やっぱり、あの人は沸点が低すぎる。いい歳して、妻子ある身なのにもかかわらず、あのすぐにキレる、あのスタンスでは人望もクソもない。

キレやすく、キレたら止められない。ここが、というかここだけが欠点のような気がするんだよね。ここを直せば、もっと慕われると思った。だから『そんなにイヤな先生には思えない』のだ。

3年間で体育の授業の時は色々とあった。3年次くらいになったら僕も回りの生徒も授業中にキレたら「ああ~また始まったよ」くらいの薄い反応で僕を含むほとんどの生徒が「こいつの癇癪は治らんな」と諦めていたのだろう。

『そんなにイヤな先生には見えない』と何度も書くけど、それでも時々怒られたりして不愉快な気分になったこともあった。全部自分が悪いんだけどね。
それでも総合的に見たら『決して悪い人じゃないな』と思うんですよ。

あの人の世代からして、おそらく「スクールウォーズ」とか「金八先生」とか、そういうのをリアタイで見てる世代なんだろうな。だから、真剣に、全力で生徒にぶつかっていけば必ず思いは伝わると信じている人だったのかもしれない。そういうことに対して冷めている僕には全く響かなかったけどな。

僕は3年間で、周りの主に女子生徒から「かわいそう」という目で見られてたっぽい。多分泣いてしまった事件が決定的で、特に女子は全員に近いくらいの人数で嫌っていた。
でも、フォローすることが出来なかった。なぜなら、当時はその教師の事が嫌いだったから。
さっきと言ってることが矛盾しているぞ、とお叱りを受けそうなのでまとめると、
中学生当時は嫌ってた。でも、今思えばそこそこまともな事を言ってて、表現が下手なだけ。
これが僕の見解。

書きながら思いだしたけど、キレてない状態の時は結構やさしかったんだよね。
うちの親にも「もう少し普段の運動量を増やして体力をつけさせてはどうか」などと提案してきたこともあった。直接生徒の母親にそういうアドバイスをするって、なかなか出来る事じゃない。

真面目過ぎるのかな。真面目過ぎて(そんなの言い訳にならないが)、癇癪起こしちゃうのかな。

ヤバい、書いているうちに『やっぱり最低の教師かも』と思えてきてしまった。色々と記憶を整理していくと、やはりダメなもんはダメなのか。本人が正しいと信じて行動しても、周りに評価されなかったらそれは結局「最低」なのだ。

1年次、本当に入学したての頃、希望に満ちていて、その時はまだ担任の人間性や性格など、分からない事も多かった。だけど、たった一年でここまでかと思うほどに担任の評価が落ちた。それでも「俺はこのスタンスをやめない」ときっぱり言ったところは、スポ根入ってんなー。自分を信じ、生徒を信じる。そんな高尚な教師はフィクションの世界で十分だよ。やっぱりダメだな。あの人。もう二度と会うことはないだろうが、会いたいとも思わん。

なんか昔話がただの過去の汚点をほじくり返して不快になったわ。最初はもっと「本当はいい人だったと思う」と書きたかったが思い出していくうちに、『あーやっぱりあいつダメだわ。人望ないわ』と思ってしまった。

過去を消すことは出来ないし、過去に縛られて生きるのも不毛だし、何より精神的に良くない。時には過去の失敗やら成功やらを引っ張ってきて、参考にするのも大事だけど、過去ばかり見ててもね。どうしようもないもんね。

実はずーっと前から書きたかったこの話題。僕にとって、中学時代の3年間は暗黒の時代でした。今生きてて、なんにも糧になってない。大事な大事な義務教育の3年間。どうしてくれるんだよ。まあ自分にも非があるけど。まともに勉強しなかったし。なんだったんだろうな。僕の3年間って。